切迫早産の原因についてわかりやすくまとめました。
切迫早産は、細菌感染症や子宮頸管無力症、年齢などの原因に注目されがちですが、最近はストレスや便秘、動きすぎ・働きすぎが影響することもあると言われています。
とくに、立ち仕事が多い方は要注意!

切迫早産とは
切迫早産とは、わかりやすく言うと、早産になりかけている状態のことです。
お腹の中で成長段階にある赤ちゃんが通常より早く外に出そうになることで、進行具合によって、自宅安静や管理入院など治療方法も異なります。
早産とは
ちなみに早産とは、生産期(妊娠37週0日から41週6日)より前の出産のことです。
妊娠37週未満の胎児は、臓器が成熟しきれていなかったり、体温調節がうまくできなかったりといったリスクがあります。
そのため早産の兆候がある場合、妊娠37週以降の出産を目指して、内服や点滴治療を行うことが多いんです。
自然早産とは
早産には自然早産と人工早産がありますが、その多くは自然早産にあたります。
自然早産とは、病気やストレスなど何らかの原因によって妊娠の継続が難しくなり、自然にお産が始まってしまうことです。

人工早産とは
そして人工早産とは、母体や赤ちゃんが危険にさらされ妊娠継続が難しいと判断された場合、人為的に出産させることをいいます。
一言で言うと、人工的に早産を起こすという意味ですね。
ちなみに日本産科婦人科学会によると、日本の早産の内訳は、
だそうです。
切迫早産の10の原因
切迫早産の主な症状は、お腹の張りや子宮収縮です。
そして子宮の張り・収縮は、以下の原因によって起こると考えられています。
絨毛膜羊膜炎|原因1
絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)とは、お腹の中の赤ちゃんや羊水を包む卵膜に炎症が起きる疾患のことです。
子宮内感染は、子宮の収縮や破水を引き起こしてしまうため、流産や早産のリスクが生じます。

子宮頸管無力症|原因2
子宮頸管無力症とは、子宮の出口部分が少しずつ開いていき、本来閉じているはずの子宮頸管長が短くなってしまう症状のことです。
具体的な原因はわかっておらず、自覚がないまま進んでいってしまいます。

子宮奇形・子宮の異常|原因3
子宮の形状や構造が正常ではないこと(子宮奇形)も、切迫早産の原因になります。
中でも、球状ではなくハート型のように左右がわかれた形をした子宮を、双角子宮といいます。
ただ双角子宮とはいえ全員が同じ形状というわけではなく、トラブルなく妊娠・出産できるケースも多く見られます。
高齢出産・年齢による影響|原因4
高齢出産とは、35歳以上の年齢で出産することをいいます。
晩婚化などの影響によって近年増えてきている高齢出産も、切迫早産の原因になることがあります。
双子の妊娠(多胎妊娠)|原因5
双子や三つ子などの多胎妊娠の妊婦さんも、切迫早産のリスクは高くなります。
胎児が1人の場合より、子宮が大きくなるため、お腹の張りや子宮収縮が起こりやすくなります。
そのため多胎妊娠の妊婦さんは、妊娠がわかった時点で「切迫早産のリスクが高い」という説明を受けることが多いようです。

ストレス|原因6
妊娠中のストレスにも要注意です。
ストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながることがあり、それによってお腹の赤ちゃんに栄養が届きにくくなります。
その結果、流産や早産の原因になると考えられています。
動きすぎ・働きすぎ|原因7
動きすぎや働きすぎが、切迫早産の直接的な原因であることはそれほど多くはありません。
妊娠中は、適度な運動を勧められることもあるくらいですもんね。
ただ、一度短くなってしまった子宮頸管が、動きすぎや働きすぎでさらに縮んでしまうということはあるようです。
感染症や多胎妊娠など他に大きな原因がある状態で、さらに動きすぎてしまったり働きすぎてしまうことはとても危険です。

便秘|原因8
便秘も切迫早産の直接的な原因というわけではありません。
ただ、排便のときのいきみには要注意!
下腹部に力を入れる動きによって、子宮頸管がさらに短くなってしまうというリスクがあります。
妊娠高血圧症候群|原因9
妊娠高血圧症候群とは、妊娠をきっかけに血圧が上がってしまう状態です。
妊婦の20人に1人が発症すると言われていて、悪化するとお腹の赤ちゃんの発育に影響したり(胎児発育不全)、ママの身体に危険が及んだりするかもしれない、恐ろしい病気です。
その場合母子の命を守るため、人工早産を起こして分娩へと進む方法がとられます。
その他の生活習慣|原因10
他にも過度なダイエットや喫煙は、早産の原因ですのでやめましょう。
瘦せ型の方は早産や流産のリスクが高くなってしまうので、体重管理については主治医に確認しておくと安心です。

早産で生まれることによる影響と治療
早産で生まれた赤ちゃんは、生産期に生まれた赤ちゃんよりも、低体重で身体機能も未熟です。
また場合によっては生命に危険が及んだり、障がいや病気が残ったりする恐れがあります。

早産と出生体重
大きな目安として考えらえるのが、生まれた時の体重(出生体重)です。
2,500g未満で生まれた赤ちゃんのことを、低出生体重児といい、体重によって細かく分類されています。
低出生体重児 | 2,500g未満で産まれた赤ちゃん |
---|---|
極低出生体重児 | 1,500g未満で産まれた赤ちゃん |
超低出生体重児 | 1,000g未満で産まれた赤ちゃん |
小さく生まれることによるリスク
2,500g未満で生まれた赤ちゃんは、標準体重で生まれた赤ちゃんよりも、脳や心臓、肺、目などに障がいが起こる可能性が高くなります。
超低出生体重児(出生体重1,000g未満)になると、そのリスクはさらに上がると考えられます。
ちなみに、標準範囲とされるのは2,500g以上4,000g未満で、4,000gを超える赤ちゃんは巨大児に分類されます。
早産とNICU
生まれた赤ちゃんの成熟度によっては、NICU(新生児集中治療室)に入院する場合があります。
NICUでは、早産により肺機能が未熟な状態で生まれた赤ちゃんの呼吸管理や、先天性の病気をもって生まれた赤ちゃんの集中治療が行われます。
NICUに入った赤ちゃんは、2,500gを超えて、呼吸機能に問題がないと判断できるところまで育ってから、退院するケースが多いです。
こんな症状に注意!切迫早産の兆候とは
切迫早産は、内診で子宮頸管長を測った結果、診断されます。
子宮頸管の長さは妊婦本人にはわからないため、気付いた時には切迫早産が悪化していたというケースもめずらしくありません。
できるだけ早く気付くことが大切です。
切迫早産の兆候・サイン
- お腹の張り
- お腹の痛み
- 腰の痛み
- 出血
- おりものの異常
37週未満でこのような症状に気付いたら、妊婦検診の日を待たず早めの受診をおすすめします。
↓切迫早産で入院になる基準については、こちらの記事にまとめています↓
https://irohairoiro.com/kijun/
切迫早産の治療方法
切迫早産の治療には、とにかく安静が重要!
管理入院になるにせよ、経過観察になるにせよ、立ち仕事は控えてできるだけ横になって安静に過ごします。
さらに切迫早産の進行具合や妊娠週数によっては、子宮収縮を抑えるための子宮収縮抑制薬(張りどめ)を使います。
子宮収縮抑制薬でよく使われるのが、塩酸リトドリンと硫酸マグネシウムです。
リトドリンは内服と点滴、マグネシウムは点滴に使用します。
↓私のリトドリン点滴量の記録はこちらの記事にまとめています↓
https://irohairoiro.com/tenteki/
切迫早産に予防法はある?
切迫早産は、早産になりかけている状態のことです。
ですので、切迫早産になると早産を予防するために上記の内服や点滴による治療を行います。
ただ切迫早産の予防法というのは、明確にありません。
適度な運動がいいと耳にすることもあれば、動きすぎは良くないと耳にすることもあったり…。

ストレスと細菌感染には要注意
ストレスを感じない範囲で規則正しい生活を送りつつ、感染症予防はしっかりと行うというのが効果的!
性交渉でのコンドームの使用や歯周病治療によって、細菌に感染しないようにしましょう。
またお腹の張りが気になる時は、仕事や家事を休んで身体をゆっくり休めましょう。
切迫早産の入院費用が心配!保険は適用される?
切迫早産の医療費には、原則健康保険が適用されます。
ですので、治療費用や入院費用の自己負担額は3割です。
ただし、一部保険が適用されず、全額自己負担になる項目もあるので要注意!
切迫早産で保険適用外になる支払い項目
- 食事代
- 個室代(差額ベッド代)
- テレビ代
- 37週以降の入院費用
- 指定回数を超えた分のNST(ノンストレステスト)
食事代や個室代、テレビ代などは、他の病気と同じように原則自己負担になります。
また妊娠37週以降は生産期に入るので、「いつ出産になっても問題ない」ということから、保険適用外になることが多いです。
NSTとは、子宮収縮やお腹の張りをモニターにうつしだす医療機器です。
週に〇回までは保険適用、△回以上は自己負担といったように、病院によっては請求されるケースもあります。
NSTは自己負担で1回2,000円くらいかかってしまいます。

また、切迫早産での入院は長期間に及ぶこともあるので、高額療養費制度に申し込むことをおすすめします。
高額療養費制度は、窓口での支払いが一定額を超えた場合、国に負担してもらうという制度のことです。

切迫早産の原因について|まとめ
切迫早産の原因の中で一番多いといわれているのが絨毛膜羊膜炎という感染症です。
また、ストレスや便秘、動きすぎ、立ち仕事など、日常生活を送る上で子宮頸管が短くなってしまうこともあります。
お腹や腰の痛みに気付いたときには、切迫早産はかなり進行してしまっているケースが多いです。
定期的な妊婦検診はもちろんのこと、お腹の張りが気になったときは検診以外でも産婦人科を受診するのがおすすめです。

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